2012.01.23 Monday
テスト大好き!?
JUGEMテーマ:日記・一般
ここで言うテストというのは、学科試験のことではなくて、僕たちの普段の仕事の一部であるいわゆるリハーサルのことである。スタジオに入って準備が整うと、監督さんやディレクターさんから声がかかる。「じゃ、テストいきまぁす!」 僕はこの瞬間が好きなのだ。はじめて見る台本。そしてはじめて目にする映像。ディレクターさんの中には、時間がないからなのか、テストをしないで「録っていっていいですか?」と、いきなり本番に入りたがる人もいるが、僕は断固として譲らない。「すみませんが、必ず先にテストでしゃべらせてください。自信がありませんから」とお断りしている。僕が何故ここまでテストに拘るのかというと、手元の台本と映像のつながりを一つ一つ確かめながら、どのようにその作品が展開されていくのかじっくり見極めるこの瞬間が一番ワクワクするからである。テストの時はまだ本番ではないので、例えトチッても、それがそのまま録音されるわけではないので比較的のびのびと表現することができる。その作品がニュース映像だとすると、海外のイメージ映像から始まり、本題である現時点での問題提起の証拠映像へとつながり、そのあと基本知識をイラストなどで説明する。そして解決策として全国各地で取材した様々な取り組みを巧みなカメラワークでドキュメントタッチで紹介していく・・・。ざっとこのような流れになっていることをテストの段階で確認するわけである。テストで読みながら、明らかに映像の長さよりもコメントの方が多すぎて次のカットにこぼれていった個所をチェックすることも必要だ。特に難しい理論や用語を説明するときは、噛んでふくめるようにたっぷりと読み進めたい。あるいは、見ている人の感性に訴えるようなイメージ映像の場合は、たたみかけるようにテンポを上げたり、あるいは間延びするほど言葉と言葉のあいだにスペースを開けたりすることもある。そういったことを何にもとらわれずにできるのがテストの時なのだ。まるで鳥たちが大空を悠々と漂う時のように俯瞰的に作品を眺める気分である。ところがいざ本番となると、トチっちゃいけないとか、次のカットにこぼれないように収めなければならない、とか読み方を間違えちゃいけない、などと余計な気遣いが邪魔をして、なんだか杓子定規なつまらない読み方になってしまうことが多い。特に、詩の中の一節のように情感たっぷりの文だとか、わざとルールを踏み外した場違いなコメントなどは、何故だかテストの時の方がより面白かったりするのも事実である。基本的には、まずはテストで一通り読んで、そのあと本番で録音する。というのが本筋ではあるが、テストの読みの方が良い場合もあるので、気がきくミキサーさんなどは、こっそりテスト中も録音ボタンを押してくれたりして、とても嬉しくなることがある。だからテストはやめられない。

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