この前のバンキシャで、落語家、三遊亭円楽師匠の引退問題を取り上げて、私がナレーションを担当させていただいた。誰もが辿る道とはいえ、あれだけの大御所の落日の様を表現することに、やはり相当気を遣いました。もともと立派な体格と、豊かな声量、細かな表現力、確かな洞察力を併せ持っていらっしゃる方の衰えていく過程を目の当たりにして、こちらもかなり萎縮してしまいました。お聞きになった方はどのようにお感じになったでしょうか?私自身、本当に迷いながらの仕事でした。ところで先日、友人の窪田等氏らと話す機会があって、あるインタビューで、普段どんなことに気をつけているかと聞かれて、「ナレーターは、決して主役になってはいけない。どんな時も黒子を通すべきだ」と彼は答えたそうです。あの「情熱大陸」の名ナレーションも、黒子に徹した結果の産物なんですね。だから、聞く人に感動と情熱と勇気を与えてくれているんですね。ともすると、ニュース番組でも、異様に冷たい読みがあったり、「あんた、何様?」と言いたくなるようなナレーションを耳にしますが、もう一度原点に返って考える時が来てるのかもしれません。あなたはどう思いますか?